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まず冒頭にこの文章を読んでみてください。
彼女は彼のひげを剃る
彼の髪を梳く
彼が椅子を探すのも手助けするし
彼のために料理をする
彼の口を拭いてあげるし
外が見えるように窓も拭く
彼のために本も読むし
彼に呼びかける
毎日が同じ繰り返し
彼女は深いため息をつく
彼がいなくて寂しいから
以上です。
読んでみて、これはどういうお話だと思いましたか?
ラブラブなカップルや夫婦の話だと思いましたか?
それとも一途な妻と、浮気者の夫の話でしょうか?
あるいは過保護な母親が息子の世話をしている話でしょうか?
実はこのお話そういう類のお話ではありません。
少しヒントを出しましょう。
ひげを剃ったり、髪を梳くのは仲良しな夫婦でもあるお話でしょう。
しかし、『口を拭いてあげたり、椅子を探すのを手伝った』というのは、お世話というより介護に近い気がしませんか?
そして極めつけは『毎日が同じ繰り返し』
同じことを繰り返すのは、何か病的な事情がありそうですよね?
そう、これはアルツハイマーの夫の世話をしている老夫婦のお話です。
この詩は、偏差値の低い高校生が1年で東京大学を目指す漫画「ドラゴン桜」で芥川龍之介モデルの国語教師芥山先生が授業の中で取り上げて私も知りました。
少し調べたところ、この詩は米国のシンガソングライター ティム・ラスローが作った歌詞の一部のようです。
皆さんはこの文章を正しく読めましたでしょうか?
初見で分かった方は国語の力がすでに備わっています。
読んだ時の違和感をスルーすることなく、違和感を追求できるかが国語の力です。
ここで話をタイトルに戻しましょう。
新潟県内を見渡しても、国語を教えてくれる(教えられる)塾校は驚くほど少ないです。
古典・漢文をかろうじて教えられる人はいるかもしれませんが、現代文を教えられる人は聞いたことがありません。
これには大きな理由があります。
生徒も教師も大部分の人間が国語という教科を『なんとなく』で解いているからです。
いわゆるフィーリングです。
国語が得意な人は特に勉強しなくても現代文でよい点数を取ります。
その人に「どうやって勉強したの?」と聞いても「なんとなく」といった回答が返ってきます。
一般に国語ができる人ほどこの傾向が強いです。
フィーリングで解いている人は、なぜ自分が国語でよい成績をとれるのか自分でもうまく説明できないのです。
これは教える側の立場になったとき、弊害となります。
うまく言葉にできなければ教えることはできません。
つまり教えることができないのです。
国語が得意な人が口をそろえて言うことは
「本を読め」
です。
これには私も大賛成です。
国語の力は活字にどれだけ触れたか、語彙力がどれだけあるかに大きく依存します。
高校3年生でもなければ読書を日常に組み込むことは、国語の力を鍛えるのに有効です。(高校3年生だと読書は悠長なので、別の方法が望ましいです)
しかし、読書量に頼ったフィーリングには大きな問題があります。
文章との相性が悪ければ点数はがた落ちしてしまうという問題です。
問題が良問であれば、特に違和感も感じることもなく解けるでしょう。
しかし、予備校が作った模試や県内の高校入試のように悪問が点在する問題に取り組む場合、問題に感じた違和感が解答に影響を与え、成績を大きく落とすことがあります。(センター試験・共通テスト・東京大学の入試問題などは良問ぞろいなのでほとんどフィーリングでも対応できますが)
ではどうやって解けばよいのでしょう?
答えは一つ『ロジカルに解く』です。
現代文をロジカルに解くことができれば、大きなメリットがいくつもあります。
まず国語が苦手な子でも高得点が取れます。
次に点数が安定します。
文章が正しく読めるので、ほかの教科の点数が伸び、学習効果が上がります。
今日行った『中1対象定期テスト解説講座』で少し解説しましたが、夏期講習ではより具体的な内容で特別講座を行いたいと思います。
大学入試まで使える内容の講座ですので、国語が苦手な方、得意でもフィーリングで解いてしまっている方はぜひご参加ください。詳細は追ってお伝えします。