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面談などでこうおっしゃるお母さまがいます・・・

子どもが授業が楽しいと毎日喜んでいます。
でもそれって楽ってことですよね?
もっと厳しく教えてほしいのですが・・・
非常に多いのですが、世のお母さま方の中には
というイメージを根強く持っていらっしゃる方がいます。
これを聞くたびに、正直とても悲しい気持ちになります。
しかし、実際に授業を受けているわけではない保護者様に『学ぶ喜び、知る楽しさ』を言葉で伝えるのは至難の業です。
1人1人に説明していたら時間がいくらあっても足りないので、ここに書き綴りたいと思います。
この話を聞けば
・勉強嫌いの子どもはどこに原因があるのか
などなどがわかります。
少し長くなりますが、最後までお付き合いいただければと思います。
なぜ勉強がつらいのか?

まず下の図を見てください

これは精神状態を3段階に分けた図で、中央が『comfort zone(快適な領域)』で
「楽で居心地のいい領域」のことです。 今、自分が持っている知識、スキルで手の内に収めることができ、ストレス、不安の少ない領域です。
次に『optimal performance zone(最適なパフォーマンス領域)』で
学習しながらすすめていかなければならない領域です。 「背伸びした領域」です。中度のストレス、不安を感じる領域です。
最後に『danger zone(危険な領域)』で
何がなんだか全くわからず、大きな不安、ストレスを感じる領域です。この領域にくると人はパニックになることがあります。
この図を見たことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、ここで重要なのは、comfort zoneにいては人間は成長しない ということです。
子どもにとってのcomfort zoneの代表例で言うと、実家などが挙げられるのではないでしょうか?
親という庇護者がいて、食べ物もある、親が家事もしてくれて自分で何も考えなくても生きていける。
そんなぬくぬくした快適な空間こそcomfort zoneです。
こたつとか布団の中なんて最高にcomfort zone ですね笑
しかし、いつまでもcomfort zoneにいてはだめなのは皆さんわかりますよね?
いつまでも親の扶養でいたり、こたつや布団の中にもぐっているだけではダメ人間になってしまうでしょう。

成長するためには、自ら comfort zone の外に出る必要があります
しかし、これにはある問題点があります。
comfort zone の外にはストレスがあふれているのです。
- 見知らぬ土地
- 習ったことのない授業
- 初めて会う人
- 外国旅行
などなど
人間は慣れていることをするにはストレスを感じにくいですが、未知のものに触れるときは普段は感じないストレスを感じます。
そのため、人は外の世界に触れた後、必ず comfort zone に戻ります。
遠出した後、家に帰ってくると安心しますよね?
まさにそれです。
話が見えなくなりそうなので、本題に戻しますが
『勉強』とは comfort zone の外に踏み出す行為を指します。
新しい知識(未知の知識)を得る行為が勉強だからです。
つまり勉強という行為には、必然的にストレスが伴います。
逆に comfort(快適)な勉強は成果に結びつきにくいのです。

高校生が小学生の四則計算だけしていたら、楽ですけど成長しないですよね?
(逆にストレスがたまるかもしれませんが)
そのため、
『勉強=つらい』
『勉強=楽しくない』
という図式が成り立つのです。
当然です、ストレスがたまるのですから。
しかし、あえて申し上げるのであれば、
この図式は大いに間違っていると思います。
いえ、ある人にとっては真実かもしれませんが、なぜそうなるのか説明いたします。
人間は100%知らないとつまらないと感じ、100%知っていると退屈だと感じる生き物
授業をする際、我々が常に気を付けていることがあります。
それは退屈な授業にしないということです。
あなたが人の話聞くときにつまらないと思う時はどんな時か思い出してください。
- 何度も同じ話を聞かされる
- 全く知らない(興味のない)話を長々聞かされる
これらの時あなたはきっと退屈だったり、つまらないと感じるでしょう。
しかし、授業では生徒に新しい知識を身に付けてもらわないといけませんので、必然的に新しい知識(未知の知識)に触れてもらうことになります。
ここで注意が必要なのは、ただ新しい知識(未知の知識)を提供するだけでは、退屈でつまらない授業になってしまうということです。

人間は興味のないつまらない情報だと、インプットがシャットアウトしてしまい、学習効率が著しく下がります。
ここで授業におけるジレンマが生じるわけです。
そんな授業可能なんでしょうか?
可能です。
ここで冒頭の 勉強=つらい の話に戻ります。
勉強がつらいと感じるのは、新しい知識に触れた際、それが全く未知の物だと感じるからです。
この問題を解消する方法が1つだけあります。
それは・・・
たとえ話です。
え?と思われたと思いますが、少し思い出してください。
私が comfort zone を説明する際、なんと言ったでしょうか?
コンフォートゾーン(英語:Comfort zone)とは、「快適な空間」を意味する語である。心理学などでは、ストレスや不安が無く、限りなく落ち着いた精神状態でいられる場所を指す。また、天文学の世界では、生命が存在する可能性があるハビタブルゾーンの別名である。建設業界でも快適性評価に関連して使用されることがある。
ソーシャルワークの研究家ブレネー・ブラウンは、「私たちの不安、欠乏、および心の傷つきが最小限に抑えられている場合 – 私たちが十分な愛、食べ物、能力、時間、賞賛を得ることができると信じられる場所。そういったものが整えられている場所の事である」と説明している。
と、説明したでしょうか?
しませんでしたよね?
きっとこの説明では、すぐに理解することは困難だと思います。
私は実家・こたつ・布団の中と説明しました。
このように仮に
初めて聞く言葉でもたとえ話を駆使することで、未知の言葉を既知のものに変えることが出来ます。
生徒が最も集中できる授業とは
『知っていること50%、知らないこと50%』の授業だと言われます。
ここで重要なのは、知らないことの比率を高めた方が、授業の内容を理解した際に学習効率が良いという点です。
そのため、得るものの多い理想の授業とは、
であると言えます。
そして授業がつまらないと感じるのは、その子自身に問題があるのではなく
と私は考えます。
大学生の中には大学の授業はつまらないという人が多くいます。
しかし、それは当たりまえの話なのです。
教授という存在は、研究者であって指導者ではありません。
専門家を専門家たらしめる要因が、その専門性にあるのだとすれば、専門家の言っていることを一般人が完全に簡単に理解できてしまうとその人は専門家ではなくなってしまうからです。
しかし、指導者は違います。
指導者の役割は文字通り人に進む道を指し示し、導くことにあります。
指導者の道案内が複雑怪奇で、理解できないような代物では指導者ではありません。
楽しい情報がフィルターをすり抜け、すっと頭の中に入っていきます。
また学生アルバイト講師を一切雇用しないことにもこれが関係しています。
ただテキストに沿って説明するだけでは、退屈でつまらない授業になってしまうからです。
1つの事象に対して10のたとえ話ができるくらいでないと、楽しい授業にはなりません。教える側は教えられる側の10倍知っていなくてはならないと業界の格言もこの辺の事情に基づいているのです。

豊富な周辺知識があってこそ、楽しい授業ができるのです。
清水先生の生物の授業は、学校の先生でも知らないようなわけわからん医学の知識 豊富な周辺知識も得ることができます。
記憶は関連付けて覚えると強固な記憶になります。その意味でも周辺知識は非常に重要なのです。
以上が、『なぜ勉強をつらいと感じるのか』についての説明でした。
勉強をたくさんする子ほど周辺知識が多いので、新しいことを学ぶ際も周辺知識から類似情報を引っ張り出してこれるので、新しいことを学ぶことに抵抗がありません。
そのため、勉強が得意な子ほど、よく勉強する。よく勉強する子ほど勉強が得意になるという好循環が生まれるのです。
つまり勉強をつらいと感じさせない一番の方法は、勉強をするということです笑
これが今回の結論です。
今回は年明け初のブログ更新となり、気合が入ってつい長文になってしまいました。次回はもっと読みやすい長さを心掛けます。(約束を守れるかはわかりませんが)
共通テストまで残り1週間!頑張れ受験生たち!