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なぜ高校入試本番81点以上取れないのか?

これは令和2・3年の新潟県高校入試の社会科点数のグラフです。
ご覧の通り、令和2年には81点以上が全体の12.4%、令和3年には14.8%となっております。
また、令和3年は31~40点、41~50点が最も多いゾーンになっています。事実平均点は令和2年は55.1点、令和3年は55.7点となっております。

一般に暗記科目に属する『理科』『社会』は勉強すれば誰でも81点以上に手が届きそうなものですが、なぜこのような結果になってしまうのでしょうか?
これは3つの落とし穴があるからなのです。
高校入試と定期テストの違い


1つ目の落とし穴は
高校入試は地理・歴史・公民の3分野の総合テストという点です。
上の文章にも書いてありますが、3分野をバランスよく出題してきます。
普段、学校の定期テストで出題されるのは、前回の定期テストから現在に至るまでの限定された範囲です。
そのため、地理なら地理、歴史なら歴史、公民なら公民の問題が出題されます。
一般に、学習の最初、テキストの最初にある『地理』は勉強量が多くなりがちで、最も抵抗なく学習されている分野になります。新潟県が公表している文章にもありますが、逆に『公民』は点数が奮わないのです。
公民が『できない』受験生たち

このできないというのは2つの意味があります。
1つ目の意味は、苦手だということです。
特に高校教育課程における「政治経済」の分野は本当に苦手な子が多いです。
これは環境による影響が大きいです。日ごろから家庭内で政治の話題が上がったり、金融教育を受けている子はむしろ得意な傾向があります。
特にお父さんがそういう話題が好きな場合、小学生でも我々が舌を巻くほどよく理解していることがあります。幼いころから『政治』や『お金』に関して抵抗感を無くす工夫が将来の入試結果に繋がってくるのです。

家の中で政治や経済の話をしている人間は煙たがられる傾向がありますが、表現こそ気を付ける必要がありますが子どもたちにも政治や経済について触れる機会はあった方が良いです。
なのでお母さま方はテレビに向かって政治批判をしている人が家の中にいてもあまり煙たがらないであげてください。
2つ目の意味は『勉強時間がない』という意味です。
公民は現在の中学校の教育課程において社会科の最後に位置しています。
必然、学習は最後になるため見直しや模試などで経験することが一番少なくなります。

しかも期末が近づいてくるにつれて、学校の先生は授業の範囲を終わらせるために段々スピードアップすることがあります。
場合によっては飛ばされてしまうところもあるかも知れません。
佐藤塾では冬期講習に『公民』の特別講座を行いますが、正直一番苦手な子が多いので夏から教えたいというのが本音です。
しかし、学校の授業で『公民』がまだ始まってもいないので、特別講座を案内したところでその有効性をご理解いただくことは困難です。
また、統一模試などの模試でも『公民』範囲が出題されるのはさらに後になります。
つまり学校でも教え始めが遅く、塾でも教え始めが遅く、模試の出題も遅い。三重苦が『公民』にはあるのです。

勉強時間が確保できない=苦手という意味1と意味2は密接な関係にあると言ってもいいでしょう。
新潟県が公表している文章にもありますが、公民分野の論述問題は著しく正答率が低い背景には、勉強不足による理解不足が存在します。
論述問題が解けない受験生たち
ある意味でこれが最も大きな理由です。
模試などでも言えることですが、定期テストと同じ勉強方法では本番の試験に太刀打ちできないのです。

夏期講習の社会科特別講座ではその点について重点的に解説していきたいと思いますが、私の見ている限り大部分の中学生が模試や本番の試験に対応できない勉強方法を行っています。
この機会に大学入試にも通用する勉強法を伝授していきたいと思います。
これは実際にいた過去の塾生たちの模試の答案用紙を見た時に率直に感じた印象です。
たくさんの『〇』とわずかな『×』でも点数は・・・


彼らの答案用紙にはたくさんの『〇』があり、『×』は数少ないように思えました。
一見すると81点以上取れているように思えましたが、実際の点数は70点でした。
なぜそのような結果になってしまうのでしょう?
彼らの答案用紙をチェックしたとき、ある共通点に気が付きました。
それは論述問題がほとんど解けていないのです。
などという問題はほとんどの子たちが解けていなかったのです。
これは普段の定期テストで480点近く取る各学校のトップ層の子たちも同様でした。
しっかり書いてありますが、言葉の意味が繋がっていなかったり、正しく理解できていないことが回答から伝わってくるようでした。
それ以下の点数の子たちは、空欄が目立ち、そもそも回答すらされていませんでした。

例えば「1972年に施行された性別により雇用・給与等の接遇を差別することを禁じた法律」は何か書きなさいという問題は解けるのですが
「男女雇用均等機会法」について「性別」「給与」という語句を用いて40字以内で説明しなさいという問題は解けないのです。
往々にしてそのような論述問題は高得点で、模試や入試において重要な得点源になっています。
しかし、日ごろから定期テストと同じ「語句」を覚える学習をしているだけではこのような論述問題が解けないのです。結果、暗記科目であるはずの社会でも高得点を逃してしまうのです。
終わりに
国語・数学・英語・理科は危機感をもって勉強をしてくれる子が多いですが、社会は定期テストのイメージに引きずられ、なんとなく語句を覚えているだけで点数がとれてしまうような気がしてしまいます。
しかし、それでは社会の点数は期待するような点数が取れないのです。
論述問題は非常にバリエーションが豊富で写真を見て読み取れることを書く問題や、地図から推測するもの、グラフから読み取るものなど多岐にわたります。

例えば、この動物が生息する地域を世界地図のA~Dの中から選べ。と言われて判断のとっかかりを持っているかは日ごろの勉強姿勢に影響します。

この動物も

この動物も
もとは同じです。しかし、気温・降雨量などの自然環境によって異なる進化を遂げたのです。
「なぜアルパカはふさふさなのか?」
「なぜラクダにはこぶがあるのか?」
など佐藤塾が推奨する「なぜ」の視点、フィンランド教育における「ミクシ」の視点が柔軟で骨太な学力を醸成します。
社会は暗記科目の側面もありますが、そうではない側面が受験における合否に大きく影響します。

夏期講習の社会特別講座では1つの授業で100回くらい「なぜ」と私は聞きます。
限られた時間ですが、その時間で皆さんに「なぜ」の視点を持ってもらえるよう努めます。
「なぜ」の視点は勉強を立体的にし、また本当の意味での楽しさも教えてくれます。
理解することの楽しさ、快感を中学生の皆さんに覚えてもらえるよう授業しますので、参加される塾生の皆さんは楽しみにしていてください。
(※地理講座は中学1~3年生が対象、歴史講座は中学2~3年生が対象です)