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夏期講習特別講座「世界地理・日本史」の振り返り
7月30日に世界地理、8月10日・11日に日本史の範囲を特別講座で解説しました。
地理は歴史と密接な関係性があり、解説の範囲が重複する部分も多かったと思います。
地理と歴史を切って離して理解することはむしろ困難で、それぞれの出来事・要素を結び付けて理解することで体系的な知識が身に付きます。
計3日間の特別講座をあえて言うなら地理・歴史講座ではなく「地政学」講座と呼んだ方が適切なのかも知れません。
知識欲・好奇心旺盛な子たちが目を輝かせて貪欲に吸収している姿は講師冥利に尽きます。
『論語』の中には次のような言葉があります。
「それを知る者はそれを好む者に如かず、それを好む者はそれを楽しむ者に如かず」
この意味は、ただ知っている人は好んでやっている人には敵わない、更に楽しんでいる人にはとても敵わない、というものです。
長く指導をしていると、時折「おっ、この子は」と思わせてくれる子に出会いますが、総じてそういう子たちは楽しそうに授業を聞いている子です。
楽しそうに勉強する子が優秀になるのか、優秀だから楽しいのか、議論は尽きませんが我々授業をする身としては1人でも楽しそうに勉強する子が増えるよう努めていきたいものです。
新潟県高校入試社会科の出題傾向について
特別講座では実際の過去問を解説資料として使用していましたが、2~3年分も解説し終わると、演習中「はっ」とする生徒たちの顔が目に入ります。
そう、去年や一昨年と同じ問題が数多く出題されているのです。

もちろん、全く同じ問題ではありません。
しかし、選択肢のうち、答えではなかった選択肢の内容が翌年に問題として出題されることが珍しくないのです。
正しい勉強法をしていれば、新潟県高校入試の社会科は100点を取ることがそれほど難しくないです。
平成31年の問題

例えば、この問題のZの選択肢。
内容は藤原道長と頼通の摂関政治についてですが、藤原親子と藤原頼通の作った「平等院鳳凰堂」は超頻出です。
平成30年

平成29年


平成27年


平成25年

平成24年



こういった具合で、藤原親子について周辺知識も身に着けていれば、かなり応用が利くことがわかると思います。
そのため、社会の学習では答えを理解することより、答えではなかったほかの選択肢の周辺知識も体系的に学ぶことが有効です。
挙げだせばキリがありませんが、新潟県高校入試は特定のルールに沿って作られています。
そのルールを理解すれば本番の学力検査で高得点をとることは膨大な範囲から出題される共通テストなどと比べるとそれほど難しいことではありません。
私は主に社会科範囲では「政治経済」「地理」が専門ですが、共通テストでは「こんなの受験生わかるわけないでしょ!」と言いたくなるような問題も割と出題されます。マーク式なので消去法で対処できる部分があるとは言え、時折大学の二次試験でも出ないような難しい問題が出されるので共通テストは油断なりません。
一方、新潟県高校入試は出題の範囲もパターンもかなり特定しやすいので、模試で400点取れる子なら私が1か月マンツーで教えれば500点取れると思います。

学習指導要領が変わり、令和に入ってから少しずつ変化が見られますが、まだまだ対策が容易です。
何度も言いますが、社会科は答え以外の選択肢が重要です。
A/B/C/Dと選択肢があって、答えがAなら、B/C/Dの何が間違っているのか、それはどんな時代のどういう物事なのか、それを学ぶことが近道になります。
社会科は寄り道こそ近道!
例えば、先ほどの藤原親子の摂関政治は有名ですが、それがどのようなものなのか答えられる中学生はほとんどいません。
もしあなたが中学生で社会科に自信があるなら以下の問題をちょっと考えてみてください。
Q,摂政と関白の共通点と相違点を、2行以内で述べよ。
これが答えられたらあなたは本当に社会の知識があります。
また、かなり良い勉強方法が身についていると言えます。
実はこの問題、1995年の東京大学の日本史の問題なんです。
東京大学は教科書レベルのことをしっかり理解できているかを問てくる大学で、一見優しそうな問題も出題してきます。しかし、わかった気になっているだけではこの問題を答えることはできません。
摂関政治というキーワードを覚えるだけではなく、それがどういうものだったのか、そこまで考えを巡らせることができなくては高いレベルでの理解はできないのです。

深く知ると勉強がどんどん楽しくなってきます。
1つを学ぶとき、その周辺知識も身に着けられれば学習効果は5倍にも10倍にもなります。
そういった好循環を作れればもう安心です。テストの点数は後からいくらでもついてきます。
歴史上の人物にしても、ただ名前を覚えるのではなく、その人のパーソナルな部分も一緒に学べばきっと忘れないはずです。
私の授業では歴史上の人物をとことん掘り下げて解説するので、ジャン=ジャック・ルソーの特殊なご趣味や高師直の特殊なご趣味、日の本一のもののふと呼ばれ皇居に銅像もある楠木正成が熱々に熱した〇〇〇を敵にぶつける戦法を取ったことなども解説します。
そうすれば生徒たちの記憶のフックに引っかかるからです。
とにかく寄り道をすることで、別ルートからの答えまでの道のりがわかる子を育てることができます。それは特定の問題だけではなく、道に迷ったとき、未知に相対したときにも役立つ知恵です。
何百年、何千年前の人物の息遣いまで聞こえてくるような解説を心がけていますが、生徒たちも勉強するときはそこまで掘り下げて学べると本当の知識が身に付くはずです。
アニメや漫画を読んでおくとお得?
今回の社会科講座でも数多くのアニメ・漫画・ドラマ・映画ネタをお披露目しました。
例えば浄土真宗系の仏教の説明をする時には鬼滅の刃の岩柱、悲鳴嶼行冥は浄土真宗系の仏教徒である可能性が高いと説明すると身近な例で理解が早いです。
承久の乱のあと、鎌倉幕府が京都の設置した機関の名前を説明する際には「東京卍リベンジャーズ」に出てくる組織名だよ、とヒントを出すと東リベが好きな子は目を輝かせて話を聞いてくれます。
勘合貿易について説明するときは、もののけ姫に出てくるエボシの夫は倭寇という海賊の親玉で、夫から財産を奪って日本に来てあのタタラバを作ったんだよというと日本近海の海賊も少しはイメージしやすくなったと思います。
冒頭挙げた藤原親子の子孫は現代まで続いており、苗字に「藤」が入る人は藤原家の子孫と何かしらの形でつながっている可能性があるという話から、「藤原紀香も藤原家とつながりあるのかもね」というと、中学生全員が「藤原紀香を知らない」という事実が判明。
まさにジェネレーションギャップです。
源義経の説明も、ジャニーズが好きな子に「大河ドラマでタッキーが演じた役だよ」と言っても「タッキー???」と返される始末。なんとタッキーを知らない。「ジャニーズの副社長だよ」というと「ああ、滝沢? ドラマとか出てたんだ、ふーん知らなかった―」と言われてしまう始末。
我々講師と子どもたちのジェネレーションギャップは年々開いていくばかりなので、こちらも新しい知識の仕入れが常に求められます。義経もタッキーから菅田将暉に変えなくては・・・。
平清盛の説明から平家に派生、そこから「耳なし芳一」の話を例えに出しても「耳なし芳一」を皆知らず。
記憶のフックは人によって異なり、生徒1人1人全く違います。
授業をする側としては全員の記憶のフックに引っかかるよう様々な試みをしていますが、最近は共通の記憶のフックが本当に見つかりにくくあるという印象を受けます。
その点、好奇心旺盛で、なんでも関心を示す子は様々な記憶のフックを持っているので、授業の理解度も高く、また理解が早いです。
「もっと漫画を読みなさい!」「もっとアニメを見なさい!」なんてひと昔には怒られそうな発言も、今では本気で必要なのではないかと思わずにはいられません。
SNSやスマホゲームも結構ですが、好きなジャンルをとことん掘り下げ、またそこから関心の輪を広げていくことが勉強にも生かせる、そんな気がします。
↓これは東京大学を目指す漫画「ドラゴン桜」のワンシーンです↓
東京大学理科三類に合格するキャラクターの幼少期の話です。もちろん、漫画なのでフィクションですが、実在する話を元に書かれているので信憑性はあります。




最初はウルトラマンでもアンパンマンでも良いのです。
子どもたちの関心の輪を広げてあげること、それこそが我々講師や親の役割なのではないかと思います。
併せて読んでほしい記事「アインシュタインのコンパスを探せ」