新潟県高校入試で超頻出『為替』

円安の影響でお店に売っているものがなんでも高く感じますね。
税込み表示が義務付けられたとは言え、会計の時に想定より高いと感じることが当たり前になってきています。
しかし、そんな時こそ『為替』を学ぶチャンスです。
冬期講習で経済の範囲を授業で取り上げますが、この記事を読んで予習していただけると学習効果が倍増しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
新潟県高校入試では、『為替』の問題は出ない年がないと言っていいくらい超頻出です。
今は同じく超頻出『インフレーション』についても学ぶチャンスでもあるので、今のうちにしっかり予習しておきましょう。
TVを見るのは時間を浪費しがちですのであまり私は勧めていませんが、政治・経済に関わるニュースは積極的に見るようにしてもらえると勉強になって良いと思います。
私も電子版を毎朝読んでいます。
『本当に円安なのか』を理解しよう!
ニュースでは「円安」「円安」と言い、この「円安」により輸入が割高になり、日本は輸入依存が高いので生活費が上がってしまっているとされています。
しかし、これは半分正解で、半分間違いです。
正しくは『ドル高』なのです。
円安=ドル高と覚えている方は「えっ一緒でしょ?」と思ったかも知れませんが、実は少し違います。
今回の「ドル高」はFRBの政策金利利上げによって引き起こされました。

ちなみにFRBはなんと株式会社で政府はその株を保有していません。
一応公的組織とされていますが、民間企業が通貨発行権を持っているなんておかしいですよね。
あくまで通貨発行権は政府のもので、政府紙幣を発行するべきではないでしょうか?

それ以上言わない方がいいよ
アメリカは物価が高騰するインフレーションが過熱し、国民の生活が苦しくなってきたことにより、引き締めのために国債の利率を上げ、市場からお金を吸い上げました。
→おっ、株に投資するより国債にして預けた方が儲かりそうだぞ?(国債利上げ)
→日本円を売って、ドルに換えて米国債を買うぞ!!(ドル高・円安)

いまいちピンとこないと思うので、冬期講習の授業の中でさらに掘り下げて説明します。
経済は1部分だけを理解してもよくわかりません。
全容を把握することが肝要です。
11月8日に迫った中間選挙を目の前に、バイデン大統領は進みすぎたインフレに対策を打たないと選挙で負けてしまうので今回イエレン財務長官に命じて政策金利の引き上げを実施しました。
その結果、世界中のお金が売られ、ドルが買われました。
つまり、これは『ドル高』なのです。
対ドルで見れば「ユーロ」も「ポンド」も下がっています。日本の「円」だけではないのです。
確かに事象だけを見れば「円安」なのですが、正確に表現するなら「ドル高」が適切と言えるのです。
為替とは?変動相場制と固定相場制
戦後の日本は1ドル=360円という固定された相場で取引されていました。
今は1ドル=150円で騒がれていますが、かつてのドル高・円安に比べると半分以下です。
戦後の日本は焼け野原になり、日本の「円」は持っていてもあまり価値のあるお金ではありませんでした。そのため、360円は1ドルと同じ価値という基準を導入してもらうことで、国際的に「円」の価値を「ドル」に担保してもらった形になります。

このように世界の通貨の中で軸となる通貨を「基軸通貨」と言います。
かつてはUK(イギリス)の「ポンド」が基軸通貨でしたが、第二次世界大戦以降、覇権をUSA(アメリカ)に譲り渡し、同時に基軸通貨としての地位も失いました。
この辺の理屈も冬期講習の授業の中で説明します。
その後、固定相場制が撤廃され、市場によって通貨の価値が変動する「変動相場制」が導入されました。現在の円はかつてから見ればかなり「円高」ですが、これは、国際的に日本の「円」が信用されているからです。

日本は第二次世界大戦の傷跡を残しながら、世界でも例のないほど圧倒的な経済成長を遂げ、アメリカに追いつく勢いで世界GDP第2位の経済大国の座に躍り出ました。(現在は中国に抜かれ第3位)
しかし、そんな日本を危険視したアメリカがプラザ合意(1985年)にて為替レート安定策と言いつつ、日本の輸出産業を潰すために一気に「円高」に進めました。
その結果、日本の輸出は一気に冷え込み、「失われた30年」と呼ばれる日本の大不況時代が到来したのです。

為替レートがなぜ輸出・輸入に影響するのかは皆さん知っていると思いますが、ここも超頻出なのでしっかり仕組みを理解しておきましょう。
日本の伝家の宝刀「日銀砲」
日本は軍事力を持たないと憲法9条に書かれていますが、日本には超強力な武器が実は存在します。
それは「円」です。
今回も急激な為替レートの変動をけん制するため、伝家の宝刀「日銀砲」がぶっ放されました。
焼け石に水と言われていますが、最も市場が動くタイミングの直前に為替介入するなど、わずかな資金でかなりの効果を挙げています。
しかし、円が上がったことでまた円売りが加速して意味がないという意見も強いですが、民主党円高時代のドルを売っていたと考えると莫大な利益を生み出しています。その利益を財源に減税とか定額給付とか行ってほしいですね。
あと半年で黒田総裁は交代になりますが、次期日銀総裁の打つ手から目が離せません。

市場では雨宮さんという意見が多いですが、中曽さんという意見もあります。
いずれにしろかじ取りの難しい日本経済の担い手には優秀な方についてほしいです。
経済を知れば今日本で世界で何が起こっているのかを理解することができます。
知ったところで出来ることは限られているかも知れませんが、それでも知ることは大切です。
テストや入試に出るからという理由はもちろんですが、ぜひ能動的に興味関心を持って経済を学んでもらえれば幸いです。