天才を育てるための2つの条件
ポルガーが唱えた天才を作るための条件は以下の通りです。
天才を作るためには「早期」からの「集中」が必要。
まず、ポルガーは娘たちを「早期」から「集中」してチェスに取り組ませました。
長女のスーザンは4歳になる前からチェス盤に毎日数時間向かっていました。
そして5歳になるころには熱心な練習を数百時間取り組んでいました。
その後、数か月後には地元の大会で全勝。12歳になる頃には16歳以下の世界女子選手権を優勝。それから2年を待たず、世界最高位の女性プレイヤーとなる。そして1991年、彼女は女性で初めてのグランドマスターの地位につきました。その間にも、性別を問わない世界選手権で三冠(ラピッド、ブリッツ、クラシカル)を達成した史上ただ一人の選手となりました。
次女のソフィアも5歳にして11歳未満の女子ハンガリー選手権を制覇。1986年には14歳未満の世界女子選手権を制し、その後もチェスオリンピアードなど権威ある大会で数々の金メダルを獲得している。
また当時世界最強クラスのグランドマスターたちを相手に立て続けに8回勝利し、「ローマの奇跡」と後々まで語られる偉業を成し遂げている。
三女のユディットは、1988年にルーマニアで12歳以下の世界女子選手権を制覇。少女が男女総合世界選手権で優勝したのは初めてだった。
更にその3年後、若干15歳にして歴代最年少のグランドマスターとなり、歴代最強の女性プレイヤーとしてみなされている。
娘3人を偉大なチェスプレイヤーに育てたことでポルガーの仮説は正しかったということが証明されました。
「集中」させることの意味
ポルガーは娘たちに「早期教育」を施しましたが、長女のスーザンは4歳前からチェスを始めたということでそれほど早いようには思えません。
いえ、一般的な話で言えば3歳から何かを始めることは早いと思います。しかし、一流を目指し、3歳から何かを始めるというのはさほど珍しいことではないようにも思えます。
確かに「早期」から何かを始めることは有利に働くでしょうが、真に重要なのは「集中」の方だと思います。
一万時間の法則…ある分野でスキルを磨いて一流として成功するには、1万時間もの練習・努力・学習が必要という法則
ポルガーの家の壁にはチェスの棋譜がそこら中に貼り付けられており、子どもたちは1日の大半をチェスに充てていたと言います。
ポルガーの娘たちは1日多くの時間をチェスに費やすことで、人より早期に1万時間の法則を達成していたのではないでしょうか?
そして確かにそれは「早期」から取り組むことでより早く達成が可能です。
あれもこれもという発想では大成できないのです。
手前みそではありますが、「習い事を減らす」ことが学業における成功につながるという話を以前させていただいておりました。
塾講師を務めている中で、小学生のうちから習い事をびっしり入れて疲れ果てている子どもを数多く見てきました。
そういう子は、お母さんが教育熱心で1日にいくつも習い事をかけもちし、送迎をされていました。
しかし、当の本人は疲れ果てており、授業中はいつもあくびをしていました。
当然、授業中は集中を欠き、成績は上がりません。小学生のうちは8~10時間の睡眠時間が必要なのに、平日も土日も習い事だらけで休む暇がありません。(佐藤塾は土日は睡眠負債を返済してほしいので授業は基本平日です)
(習い事を減らさないと成績も上がらないだろうし、何より本人がつぶれてしまうかも・・・)
しかも成績が上がらないのでさらに他の塾の個別指導を追加されてしまうという悪循環。
こういった事例は教育熱心なお母さんにほど多く、その熱意が逆効果になってしまうというケースが少なくありません。
別に勉強だけがすべてではありませんので、何か他の習い事に精を出すことは良いことだと思っています。
しかし、それも2つ3つではなく、できれば1つに絞って勉強と竹馬のように日々勤しめば良いと思います。
特に東京大学を目指すとかでなければ勉強一本集中とまでいかなくても、ある程度の大学は届くと思っています。
(東京大学は「集中」が必要な大学です。できれば「早期」も)
ポルガー家のルール
ここまで話を聞いて、ポルガー家はさぞスパルタな英才教育を施していたのだろうという風に思われたと思います。
しかし、実態は真逆です。
ポルガーは「楽しむ」ことを重視していました。
娘たちにも無理やりチェスをさせるのではなく、楽しく取り組めるよう工夫をしました。
結果、娘たちは楽しく1日中チェスに取り組むことができたのです。
やはりなんでもそうですが、楽しくなくては続きませんよね。
私が授業をするときに常に意識していることは勉強の「楽しさ」を教えることです。
本来「知る」ということには「喜び」が伴うはずなのです。
しかし、なぜか世の中には勉強嫌いな子が少なくありません。それはとても不幸なことだと思います。
本来、勉強は「楽しさ」と「喜び」にあふれているはずなのです。
「うちの子、集中力がなくて、、1時間も集中が持たないから3時間連続の授業は厳しいと思います」
入塾当初はそんなお話をされていた子が、季節講習中ずっと1日10時間学習を続けれらるのには理由があります。
それは本人が楽しんでいるからです。「楽しむ」と「楽」は違います。
佐藤塾は「楽」な塾ではありません。
『勉強は「呼吸」』とか言う塾長がいます。ひどい話です。
しかし、「楽しい」塾ではあると思っています。
・家で授業の思い出し笑いしているときがあります。
・迎えに来たとき、いつも笑顔なんです。
・家で今日習ったことを嬉しそうに教えてくれるんです。
そんなお言葉を頂戴するたびに、もっとよりよい授業をしなくてはという使命感を感じます。
勉強が好きになってくれれば授業が無くても自分で勉強ができるはずです。
話を冒頭に戻しますが、天才の条件とは努力を楽しめることなのかも知れません。
佐藤塾の目標はそんな天才をたくさん育てることです。