フラッシュカードは子どもにとって良いのか?~einstein never used flashcards~

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アインシュタインはフラッシュカードなんて使わなかった?

『アインシュタインはフラッシュカードなんか使わなかった』と題されたこの本は、過熱する早期英才教育とその知識偏重への警鐘を鳴らす内容となっております。
本書では、早期英才教育は無意味、遊びを通して子ども自身の関心の幅を広げてあげることが大切。と今では割と当たり前に言われていることですが、本書が発行された2000年前後では主流とは呼べない主張でした。

早期英才教育は悪影響を及ぼす?

幼く未熟な子どもの脳にたくさんの情報を与えると、氾濫が起き、かえって健全な発達を阻害する可能性がある。

本書ではそのように主張されています。

また

幼児でもフラッシュカードを暗記することはできるが、現実世界のものと結び付けて理解することはできない。

とも書かれています。

本書では、ある母親が幼児に熱心にフラッシュカードを使い「うちの子は天才かもしれない、ぜひ会ってほしい」と著者に言ってきた話が紹介されています。

確かに子どもはフラッシュカードを次々を読み上げ、そのフラッシュカードを記憶しているように見えました。

そこで著者はその子に「あのテレビに流れている下の文字をちょっと読んでもらえる?」と言いましたが、答えることはできなかったそうです。

少しいじわるなエピソードですが、フラッシュカードを暗記することはできても、自分を含む実社会との関連付けはできるようになるわけじゃないと著者は結論付けています。

しかし、本当に早期英才教育が悪影響を及ぼすかどうかは検証されていません。
教育の説を唱える方に非常に多いのですが、検証可能なデータに基づいて説を述べられているケースは少ないです。
また統計を用いて検証したケースでも、自身の見識に合った結果を導き出すために、恣意的に数字を利用することも多いです。
フラッシュカードや早期英才教育がどの程度までやりすぎると悪影響を及ぼすのか、発達と早期英才教育の相関関係をビックデータで表すようなものが今後出てくれば答えも見えてくるはずです。
フラッシュカードが害になる、早期英才教育が無意味という説には私自身は懐疑的です。もちろん強制や幼い子どもへのやりすぎには断固反対の立場ですが、親がフラッシュカードを一緒にやる、早期英才教育に関心のある親は総じて教育熱心であるなどプラスの面も無視できないと思います。

子どもの関心の幅を広げるのは親の役目?

本書では「フラッシュカードや早期英才教育の良くない点」を挙げている一方、遊びを通して子どもの関心の幅を広げることの重要性を説いています。

例えば電車好きの子どもがいたとしましょう。

当然、子どもは電車のおもちゃを欲しがります。

親はそこで電車のおもちゃを買ってあげるのは良いですが、そこで終わってしまうと大変もったいないことになります。

以前のブログにも書きましたが、その『電車』は『アインシュタインのコンパス』かもしれないからです。

電車はどうやって動いているの?(物理)
東京から新潟まで来るにはなんて電車に乗れば良いのかな?(地理)
その時通る県は何県?(地理)
新潟県に新幹線が走るようになったのはいつ?誰が指示したの?(政治経済)
電車はなんて素材で出来ているの?(化学)
新潟から大阪まで行くのにかかる時間は?距離は?じゃあ速さは?(算数・数学・物理)

フラッシュカードは良い・悪い?

einstein never used flashcardsではフラッシュカードの良くない面を数多く取り上げていましたが、他の書籍で語られているフラッシュカードの効用を考慮すると良い面も多数あると思われます。

要は運用する側の問題であり、フラッシュカード自体は有効な教育ツールだと私は考えます。

フラッシュカードだけではダメ?

当たり前の話ですが、何事もバランスが大事です。

野菜が健康に良いと考えたからとしても、野菜だけ食べすぎてはいけません。ほかの栄養素もバランスよく取ることが健康に繋がります。

また最近の根菜類は甘く糖度が高いため、肥満の一因になる可能性もあります。

妄信的に野菜だけ食べ続けることは危険ですが、だからといって「野菜が危険」とはなりませんよね?

フラッシュカードも同様だと思います。

フラッシュカードは記憶のフックを作る

フラッシュカードには記憶のフックを作る効果があります。

例えば「いちご」の絵を一度フラッシュカードで見ただけでは有効な記憶にはなりません。

しかし、フラッシュカードに出てきた「いちご」が食卓に上がってきたとき記憶がリンクします。

einstein never used flashcardsの著者は幼児がテレビの文字を読めなかったことを指摘していますが、それはまだ幼児の記憶がフックの状態であり、リンクする情報をまだ得ていなかったためです。

記憶は蜘蛛の巣のように関連付けられて初めて強度を保ちます。

実社会への有効性が顕在化していないフラッシュカードの記憶も、実は土の下で日の目を見る日を待っているのです。

フラッシュカードは有効です。

ほかにも集中力を高める効果もよく言われています。これもあると思います。

無駄な教育などないということです。
こう言ってしまえば身もふたもないかもしれませんが、親が子どもために試行錯誤して子どもの教育について考えることは素晴らしいことだと思います。
それが時として期待するほど効果をあげなくても、それはまだ日の目をみていないだけでちゃんとその子の糧になっているので安心してください。
ただ注意が必要なのは、すぐに芽がでないからといって子ども自身を否定したりしないことです。当たり前なことかもしれませんが。

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