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新聞と学力の相関関係
先日、『新聞を読む子は学力が高い』というニュースがSNS上で話題になりました。
この説には「学力が高いから新聞を読めるのではないか」「新聞を購読する世帯はそもそも教育水準が高いのではないか」などなど様々な意見が飛び交いました。
事実、調査をした文科省も「相関関係があるとまではいえない」という結論に至りました。
しかし、相関関係があるかどうかは置いておいて「新聞を読めば学力が上がる」という説に真っ向から否定する人は少数のように思えます。
新聞には「経済」「政治」などの情報が載っていることから「社会」の勉強になりますし、日常的に活字に触れることは「国語」の力を伸ばしてくれます。
これらのことから「新聞を読む子は学力が高い」とは言い切れないが、「新聞を読めば(個人視点において)学力は上がる」ことに疑問を挟む余地はないように思えます。
フランスの哲学者「ピエール・ブルデュー」は著書「ディスタンクシオン」の中で書物や絵画・楽器などの文化資本が子どもの将来に影響を与えると説いています。
例えば家に本がたくさんある子と、本が全くない家の子では、将来における読書習慣に差が出るというのは想像に難くないと思います。
ブルデューは経済力を示す経済資本の他にこのような資本が将来に与える影響について述べています。
世界的に有名な実業家たちは皆読書家であることが有名です。
日本の実業家で有名なソフトバンクの孫正義さんは「竜馬がゆく(司馬遼太郎)」、ユニクロの柳井正さんは「成功はゴミ箱の中に(レイ・クロック)」を読み人生を方針を決めました。
家に本が1冊もない環境で育てば著名な実業家たちも現在のようなものではなかったかも知れません。
碁打ちの学力は高い?低い?
これは、私が通っていた日本棋院長岡支部に通っていた子どもたちが成長し、進学した大学を並べたものです。
私自身は9歳の頃に親に連れられて日本棋院長岡支部に通い始めました。(途中、下の弟が2人が加わりました。)
15歳の時、県代表の座を賭けた準決勝の終盤大ポカをやらかし半目負けをしてからしばらく距離を置いていましたが、高校・大学に入ってからもたまに顔を出し、先輩や後輩たちの大学進学先の報告をもらいました。
逆にこちらが合格の報告をすると大変うれしそうに「そうですかそうですか」と喜んでくれたのを覚えています。
当時の席亭(今もそうですが)は、「囲碁は頭にとてもいいんですよ」といつも繰り返し言っていました。実際、進学実績だけを見れば、なまじそこらの進学塾より良いのではないでしょうか。
通っていた子ども全員のその後の消息を知っているわけではないので、身内を含めあくまで一部ではありますが特に関わりの多かった人たちの進学先は納得がいくものが多いです。
1つ上の先輩で私が1度も勝てなかった人は東北大学に進学したと高3の時教えてもらいました。
私より3~4下で県代表になった子は新潟大学医学部に進学しました。
では東大に進学した2人は最強格だったかというと全然そんなことは無く、2人とも私より棋力は下でした。
まぁ、2人とも5歳以上年下だったのもありますが笑
囲碁の棋力=学力
はある程度のところまでは正しいのかも知れません。
しかし、どちらかが閾値を超えるとその関係性は成り立たないようです。囲碁のプロを目指す人は学校の勉強をしている暇はないので当然ですね。(一力遼棋聖は例外)
ですがある程度までのところであれば囲碁を打つことは勉強にも良い効果を生んでいることは確かだと思います。
ここで冒頭の新聞の話と同様、「囲碁を打つ子は学力が高い」のか「学力が高い子は囲碁を打つ」のかという疑問が生まれそうですが、「囲碁を打つことで学力が上がる」「勉強にも良い効果がある」ことは疑うべくもないような気もします。
集中力・大局観・メタ思考
囲碁を打つことで得られるものは非常に多いです。
相関関係を証明する術はありませんが、私自身は囲碁の学力に及ぼす良い影響については確信しています。
かのアルベルト・アインシュタインも囲碁を打つ人であったことは有名です。実際の棋力の程は謎に包まれていますが嗜まれていたのは確かなようです。
頭を使うのが好きな子に育てる
佐藤塾では定期的にボードゲーム大会を開催しております。ボードゲーム大会では軽食や食事も提供しており、みな学校も学年も違う子たちが和気あいあいとゲームと食事を楽しんでいます。
私も一緒にやるのですが、一番好きなのは「コリドール」です。
8年ほど前のニコニコ超会議で将棋と囲碁の棋士同士が対戦していたゲームです。
おそらく碁打ちは得意なタイプのゲームだと思います。
対戦するときは私も手を抜きません。
本気で読んだらそうそう負けないのですが、ある時1人の子が必勝法(?)を考えて披露してくれました。
私はどんな作戦なのか気になって、それに乗ったところ、あっさり負けてしまいました笑
もう一回やっても勝てません。3度目になって、やっと必勝法の攻略を見つけて勝ちましたが、自分で作戦を立ててきたその姿勢にとても感心したことを覚えています。
きっと、この子の成績は伸びるだろうな。
心の中でそう呟きました。
結果的にその予想は的中し、入塾からしばらくしてその子の成績はみるみる上がり、学年上位まで届きました。
頭を使うゲームを楽しめる子は、遅かれ早かれ学業面での成功を収めることは確かなような気がします。
事実、ボードゲーム大会でいつまでも帰らず、ボードゲームにかじりついている子たちは皆優秀です。学業面での成果がまだ出ていない子もいますが、その子たちは前述したように後々成果が表れてくるはずです。
前述した子は、ご家庭で一緒にボードゲームをする習慣があったと後に聞きました。親御さんがお子さんと一緒に遊ぶ(遊びに付き合うのではなく一緒に遊ぶ)ことのメリットはこんな形で活きてくるのだと感じ入りました。