才能・教育・訓練の3つの相関関係について

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「教育」が「訓練」や「才能」を凌ぐことはない

以前もご紹介しました慶應大学教授、安藤寿康先生の著書「日本人の9割が知らない遺伝の真実」に書かれていますが、「教育」が「訓練」や「才能」を凌ぐことはないという説があります。

この動画の「17:28」から才能・教育・訓練の話がされています。

指導力のある講師が生徒を教えたとしても、指導に当たっている期間は学力が向上するが、指導をやめ一定期間経つと元の学力まで戻ってしまうというのです。

またこんな話をされている人もいます。

東京大学卒で中学受験のプロ、長谷川智也先生の記事です。(このPIVOTというアプリはnewspicks編集長佐々木紀彦さんが作ったアプリで教育に関する情報も豊富ですのでおすすめです)

長谷川先生は「二月の勝者を鵜呑みにするな」「課金しても伸びる幅は限定的」と語られています。

2人の有識者が語られていることを補強するような意見を持たれている方は他にも数多くいます。

しかし、これが認められてしまえば「教育」そのものの価値に疑問符がついてしまいます。

当然、学習塾もその対象です。

やっても意味があまりないのであれば、塾という存在もただの不安産業にすぎないのではないかと私自身悩んでいた時期がありました。

理想の教育を、という理念で設立された佐藤塾だけに、この問題は無視できませんでした。

私自身、良き師と巡り合い、劇的に勉強との向き合い方が変わった経験があるので、安藤先生の唱える「すべては遺伝(才能)」という主張は受け入れ難いものがあります。
「教育」の持つ力は大きく、決して無意味ではないと今でも確信しています。
また現代の学校教育だけでは、十分な勉強量が確保できていないというのが自身の結論です。

日本人の平均身長は江戸時代からどれくらい伸びた?

すべては遺伝という説に対し、反論するものの中にはこういったものがあります。

日本人の平均身長は江戸時代から男性は10cm、女性は8cmも伸びている。
遺伝子はそんな短期間で変化するものではないので、すべては遺伝という説には無理がある。
環境の影響も非常に大きいはず。

たしかにその通りで、江戸時代から現代にかけての間に日本人の遺伝子がそれほど大きく変化したとは考えづらいです。

しかし、これにはある仮説が成り立ちます。

それは、江戸時代までの日本人は遺伝では現代とそう変わらない平均身長であったが、成長に必要な栄養がなかったため、現代ほど背が伸びなかったのではないか。というものです。

これなら、江戸時代から現代にかけて急激に平均身長が伸びたことも頷けます。

事実、戦国時代でも身分の高い(経済力のある)人々は身長が現代水準であったと言われています。

織田信長170cm、豊臣秀吉150cm、伊達政宗159cm、坂本龍馬170cm、浅井長政182cm、豊臣秀頼197cm、淀君168cm、お市の方165cm
秀頼の197cmはちょっと本当かわかりませんが、身分の低い立場から成り上がり、成長期に十分な栄養が得られなかった豊臣秀頼だけが150cmなのは栄養がなく、身長が伸びなかった説を補強してくれます。
ひょっとしたら、毎日ご飯を十分に食べていたら秀吉も秀頼レベルの長身だったのかも知れません。

入塾して2か月で成果を出す子どもたちの存在

話が少し変わりますが、佐藤塾では入塾して2か月で定期テストの点数を大幅に上げる子たちがかなりの割合で存在します。

1科目で40点近く点数を上げたり、5科目で50~100点近く点数を上げる子もいるのです。

しかし、これには疑問があります。

以前のブログ「成績が上がるまでの3ヶ月の山とは?」で書きましたが、本来成績に勉強の成果が上がり始めるにはある程度の期間を要します。

それなのに少なくない人数が毎回短期間で大きな成果を上げています。

なぜこのようなことが起きるのでしょう?

しかも教えていない科目も伸びています。
自習のときはすべての科目を教えますし、勉強のやり方、テストの受け方も伝えます。
しかし、本当にそれだけで急激に成長することがあるのでしょうか?
もちろん、言うまでもなく、本人の頑張りが最大の要因であることは言うまでもありませんが、これほど短期間に成績が上昇するのはやはり「教育」による成果もあるのではないのかと思います。

学校教育だけでは栄養不足?

戦後食糧難に陥った日本は児童の栄養状態が悪化し、国民の要望が高まったことで1954(昭和29)年には「学校給食法」が成立します。

この学校給食により栄養不足は解消され、日本人の平均身長は大幅に伸びました。

また勉強に関しても、現代の学校教育だけでは勉強不足に陥っているのではないでしょうか?

佐藤塾では必要な学習量を確保するために、中学生は週4コマ(3年生は6コマ)の授業体制を取っています。これは他の学習塾よりかなりコマ数が多いです。

日々送迎をされる保護者様方には大変申し訳ないのですが、この授業数は成績を上げるうえで必要最低限ですので今後も変更する予定はありません。

しかし、これだけ授業数をこなさないと成績が上がらないので、やはり「教育」が学力向上の一役を担っているはずです。

以前のブログ「なぜ個別指導だけでは成績が上がらないのか?」でも書きましたが、勉強ができるようになるためには勉強量が欠かせません。そのために必要な授業数が週2回ずつ英数の授業なのです。

もちろん、教育(授業)だけでは成績は上がりません。本人による努力、つまり「訓練」も重要です。

学校給食により日本人が短期間で平均身長を大幅に伸ばしたように、入塾し必要な学習量を得た子たちが、本来持っている実力を顕在化させた結果が2ヶ月で大幅に成績を伸ばす結果に繋がったのではないでしょうか?

この仮説が正しいとするなら大部分の子どもたちが学校教育のみの勉強量不足に陥っていることになります。

つまり本来の実力の位置まで押し上げるうえで「教育」は有効だということです。

その先は、本人の才能や訓練、つまり自助努力によって学力は形成されていくのです。

佐藤塾では、定期テスト前にワークを3周するよう指導しております。これには「訓練」に属します。演習なくして授業のみで成績を上げることは困難です。

とにかくテスト範囲の問題を読み込み、理解することが高得点への近道です。

なぜ3周なのか、と言えば人は忘れる生き物なので、繰り返すことで知識が定着するからです。

「教育」と「訓練」この2つを以って佐藤塾では成績アップを目指しています。
今回もそうでしたが、毎回入塾した子、転塾して入ってきた子の成績が定期テストで急激に上昇する背景にはこんな理由があるのではないか、という私の考察でした。
今後も子どもたちに必要な栄養素としての立場を邁進していきたいです。
そして子どもたちの学習意欲に火をつける、エネルギーを注げるような講師陣でありたいです。

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