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理想の塾選びとは?
先日、ある保護者さまからご質問を頂戴しましたので、その内容についてお話したいと思います。
高偏差値の難関校に見事合格され、春から県外に行かれることになりましたので、佐藤塾は1月いっぱいで卒業となりました。
新天地での塾選びの参考にされたいということでいくつかご質問を頂戴し、それにお応えした内容をまとめてみました。
ただこのお話は私見が多分に含まれておりますので、一意見としてお聞きください。
また子どもによって向き不向きがあるので、すべてのお子さんに当てはまるとは限りません。
あくまで最大公約数にむけた「良い塾」とご理解ください。
良い塾を探すときの3つのポイント
①ホームページに特徴がある
②机が広い
③集団指導かつ大学受験まで教えることができる
これが私の考える良い塾を探すときの3つのポイントです。
なぜそうなのか、1つずつ説明させていただきたいと思います。
この保護者さまに質問いただいた際、某県における良さそうな学習塾探しを私と清水教室長でそれぞれ行いました。
塾ナビなどのポータルサイトから各塾のホームページを見て、入念な下調べを行った結果、なんと清水教室長と私が「良さそう」と判断した塾は全く同じ塾でした。
これは偶然の一致ではなく、それなりに長く、考えを持ってこの塾業界にいる人間なら同じところにたどり着くのはある意味当然の結果なのかも知れません。
一番良さそうなのは〇〇予備校さんかな?
あと〇〇塾さん。厳しそうだけど、英語は良さそう。
全く同じところ見てました。
〇〇予備校のこの校舎が良さそう。
〇〇塾はここのホームページの書き方から塾長が直接教えてそう。
ホームページには『こだわり』が現れる
まず私が一番最初に塾選びで参考にしたのは、ホームページの「文字の多さ」です。
この時点でフランチャイズと直営塾の違いが明確に出ます。
フランチャイズは「わかりやすく、問い合わせに繋がりやすいホームページ」を作るため、比較的文章量は少なくあっさりした作りになっています。
フランチャイズのホームページによく掲載されているのは以下のものになります。
校舎数(全国〇〇店舗)、生徒の顔写真入りの口コミ、お問い合わせフォーム
とにかく問い合わせにつなげるための工夫が随所に施され、ホームページからの離脱率を下げ、問い合わせになるようになっています。
直営塾のホームページによく掲載されているのは以下のものになります。
教育理念、指導方針、求める塾生像
われわれ教育に携わる立場である者たちは、知らず知らずに自身の中に教育理念や方針のようなこだわり・想いが備わります。
教育に想いがあればそれは必ずホームページにも表れるはずなのです。
教育理念や指導方針、求める塾生像などは一部の人たちには価値のあるものかも知れませんが、なかにはそれを求めない人もいます。
口うるさく書かれている長々とした文章は、読む方に負担を強いてしまい、ホームページからの離脱の原因になってしまいます。そのため、とにかく問い合わせにつなげたいというフランチャイズ経営の学習塾は、理念や方針などをあまり載せないのです。
私がこうして書いているブログもそうです。
問い合わせだけを増やすことが目的ならこういう書き方はしません。もっと短く、親しみのわく内容にします。しかし悲しいかな教育に携わる者の性(さが)で、話は長いですし、話したがり、教えたがりなのです。許してください。
うちの奥様からはいつも「長い」「言葉が難しい」「youtubeで話して」と手厳しいお言葉を頂戴しております。
直営とフランチャイズの是非についてあくまで私見を述べさせていただくのなら、フランチャイズは指導(サービス)のレベルが画一化されており、使う教材自体は良いものが多いことがあります。しかし、「教育がやりたくてやっている直営店」と「収益あるいは事業の多角化が目的で参入するフランチャイズ」では目的が違いすぎて比較できないと考えております。
かなり昔になりますが、新潟県内で就職活動をした際、有名な学習塾の説明会に参加したところ、心底がっかりさせられた経験があります。今もそうであるかはわかりませんが、建設業や不動産業、訪問販売業のオーナーの方が経営されている学習塾は私がやりたい教育とは乖離があると痛感させられました。
その点、某県の〇〇予備校さんは事業規模こそ弊塾と比べ物にならないほど大きいのにも関わらず、代表の教育理念がはっきりとホームページに記載されていました。
自分の子どもを任せるなら、という同じ親の目線に立ってみた時、私の目には〇〇予備校さんはとても魅力的に映りました。
逆に〇〇塾さんは、超・シンプルなホームページに塾長の言葉が短く書かれていました。
商売気が全くなく、排他的な空気すら感じる作りに「地元の口コミで続いている塾」であることがわかりました。つまり長年実績を出し続けた信頼に足る塾であるということです。〇〇塾さんも私と清水教室長の目にとまりました。厳しそうですけど笑
机の広さは経営者の考えを映す鏡
これは学校の教育現場にも言えることですが、子どもたちの学習机は『狭すぎ』です。
297cm×420cmのA3用紙を広げただけで筆箱を置くスペースもなくなるほど狭いです。
勉強するなら机はとにかく広い方が良いです。
しかし、びっくりするほど狭い机で子どもたちに勉強させる塾も世の中には数多くあります。今の時代、「カフェのようなおしゃれな塾」というのが流行りで暖色光の薄暗い部屋で小さなタブレット画面を注視させ、狭い机で座り心地の悪い椅子で勉強させるところが増えています。
確かに見栄えが良く、勉強のモチベーションにはなるでしょう。しかし、学習環境としてはいかがなものかと個人的には考えてしまいます。
当然ですが、狭い机の方がより多くの塾生を教室内に入れることができます。そのため、経営に軸足を置くフランチャイズ系の塾ではどうしても狭い机を採用することが多くなります。
あくまで一意見に過ぎませんが、勉強する子どもの気持ちになればできる範囲で広く使える机を用意してあげた方が良いと考えております。
似たような例で「自習室」の有無はもっとトップの考え方が現れます。
自習室がない、あるいはまったく席数が足りていないのは事業的には正解なのかも知れませんが、私の考え方とは少し異なります。
指導方法は集団指導一択
なぜ集団指導が良いのかは「なぜ個別指導だけでは成績が上がらないのか?」で説明していますが、一番の理由は優秀な先生は最終的に集団指導に行きつく点にあります。これは労働生産性という事業者視点で見た方がわかりやすいですが、能力のある先生ほど個別ではなく集団に移行します。
唯一の例外として、大学病院が近くにあり、例えば医学部の学生アルバイト講師などがいる場合は、個別指導でもレベルの高い先生が教えてくれる可能性があります。それ以外は長期的目線で見た時に指導の質が担保されにくいです。
塾は最後には大学受験にたどり着く?
例えば、中学生に化学反応式を教える際、なぜそうなるのかを説明するには中学までの知識だけでは不十分です。化学反応式は高校化学の知識があれば説明できます。
英語の文法も丸暗記でテストの点数を稼ぐことができるでしょうが、なぜそうなるのか、正しいルールを知ろうとすれば高校以降の英語の力が求められます。
つまり大学受験レベルの正しい知識を持った人間が教えるのと、そうではない人間が教えるのでは同じ指導範囲でも教えることの深さが圧倒的に違うのです。
そのため、佐藤塾の講師の採用基準は高く、国公立大学卒以上の学歴を有していることが条件となります。国公立大学卒ということは「少なくとも5教科7科目が一定の水準以上であること」の証明にもなります。
その中からある程度の専門性を持ち、自信のある科目を選んで教えているのです。例えば佐藤塾で算数・数学を担当する清水教室長はロサンゼルスの留学経験もあり、英語には自信があります。しかし、もっと適任な人材がいるため、指導は一番得意な算数・数学のみとなっています。
中学生を教えるとき、「中学生なら教えられる」程度の力ではダメなのです。国立2次レベルの問題でもある程度教えられるくらいの力があって初めて本当にその中学生に必要な知識を厳選して提供できるのです。
フレンチの鉄人「坂井宏行」氏が料理の鉄人の中で言ったセリフで印象的なものがあります。
「フレンチができるならイタリアンはできる」(イタリア料理人の方には失礼な話なのかも知れませんが・・・)
これを塾に置き換えるなら大学受験ができるなら高校受験ができる、です。
(中学受験は少し特殊なので、高校受験と大学受験とは全く異なります)
そういった意味で、学習塾で大学受験の指導が可能であるということは一定の指導力が担保されているという目安にもなります。
例えば実際にありますが大学受験指導が可能と謳いつつ、高校3年生の入塾を受け付けていない塾などは疑問符が残ってしまいます。高校3年生の春から塾に通い合格される例も数多くあると思います。何も世の中にあるのは難関大学だけではないのです。
そういった観点からも〇〇予備校さんは校舎数に対する大学合格実績が豊富で、かつその偏差値も高く、指導力にも信用がおけそうでした。
長々とお話しましたが、ほかにも塾を見るときに我々が気にするポイントはあります。
しかし、これらはあくまで私見であり、本当のところは実際に体験してみないとわからないです。
塾業界はレモン市場?
レモン市場とは?
商品の売り手と買い手に情報格差が存在するため、安くて品質の悪い商品(レモン)ばかりが流通し、高くて品質の良い商品(ピーチ)が出回りにくくなる現象のこと。レモンは皮が厚くて外見から中身の見分けがつかないことから、主に米国で低品質の中古車の俗語として使われている。
(野村証券 証券用語解説集より転載)
中古車も買う際、車の下に潜り込み調べてから買う人は多くないでしょう。
実際に見たところでどこに問題があり、どこが良いのかもわかる人間はその分野に精通する人間に限られます。その車を買って正解であったかどうかは実際に買って乗ってみてようやく後になってわかります。
学習塾も同じだと私は考えます。
実際に通ってみないと良し悪しはわかりません。それに成績が上がるのは一般に3ヶ月はかかると言われているため、体験だけではわからないこともあるでしょう。
佐藤塾では長めの2週間の無料体験期間を設けてご判断いただくようにしていますが、世間には入塾費やテキスト代のような埋没費用(サンクコスト)を高く設け、乗り換え(スイッチング)させない手法がまかり通っています。なかには何年もかけて返済する教材購入ローンを組ませるところもあります。
佐藤塾ではキャンペーン期間を定期的に設け、入塾費を無料にしたりしていますし、そもそもテキスト代は頂戴しておりません(個人的に追加で別教科分を購入される場合は別です)
自身も学習塾をやっている立場である以上、どのように語ってもポジショントークになってしまいますが、こういった実情を変えたいという思いが我々にはあります。
最後になりますが、今回お話させていただいた『良い塾はどんな塾?』はあくまで私個人の視点でわが子を入れる際に見るポイントを語らせていただいたものになりますので、他社様を批判する意図はございません。皆様と事業者側の情報の非対称性が少しでも改善され、ご判断に役立てば幸いです。