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今回はスマートフォンが学力にどのような影響を与えるかについて解説していきたいと思います。
小学生までは勉強熱心な子だったのに、中学入学と同時にスマホを買ってもらったらすっかりスマホ依存症になり、勉強の成績が下がった!
そんなお子さんが今世の中に溢れています。
スマホの是非については様々な場で語られていますが、実際のところはどうなんでしょう?
今回は東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太先生の著書『スマホが学力を破壊する』を一部引用し、教育現場で起きている実態についてお話していきたいと思います。
(DSのソフト脳トレを監修した先生で有名ですね)
ちなみにこの著書を読む前から私は高校生未満のスマホ使用には反対でした。
塾でも授業中の使用は認めませんし、そもそも持ってくることもあまり勧めていません。授業中も気になってチラチラみてしまう子が少数ですがいます。
自分の子どもには高校入るまでスマホを渡しませんし、仮に渡すとしても必ずリテラシーを徹底的に教え込んだ上で渡します。
それだけスマホは便利な反面、多大な危険性をはらんでいるのです。
先に結論を言ってしまうと、
スマホによって学力は大きく下がります。
スマホをやめるだけで偏差値が10上がります。
以前、news picks の番組で「子供のスマホ利用は制限すべきか」というテーマの回がありましたが、出演者のほぼ全員がスマホの利用制限はしない方が良いという考えで驚きました。
その中には子ども4人を東京大学理科三類に入れた佐藤亮子先生もいたのですが、議論の終盤になるとスマホの利用を表立って批判しなかったのは正直意外でした。
12歳までは極力触らせないようにとはおっしゃっていましたが。
結論は先に申し上げましたが、スマホが子どもの学力にどのような影響を与え、どうすれば学力が戻るのか、川島隆太先生の著書『スマホが学力を破壊する』に沿ってお話していきたいと思います。
家庭学習しないけどスマホを全くしない vs 勉強もスマホも同じ時間する はどちらの成績が良いか?
スマホによって学力が下がる要因の1つとしてよく言われていたのが、スマホをやる時間が増えることによって、24時間の時間が消費され、睡眠時間や勉強時間が減るからだ、というものがあります。
しかし、これは関係なかったことが著書の中のデータが証明しています。
『家庭学習しないけどスマホを全くしない子』と『勉強もスマホも同じ時間する子』の学力を比べた場合、前者の方が優秀で、後者の方が成績が悪いです。
スマホ0時間 vs スマホ1時間未満 はどちらの成績が良いか?
スマホを全くいじらない(持っていな子)と持っているけど1日1時間未満の子の学力を比べた場合、後者の方(スマホ1時間未満)が優秀だということが分かったのです。
これによりスマホ利用で勉強時間がなくなったという説は否定されます。
意外な事実ですが、スマホの利用時間が長くなればなるほど学力が下がるのはデータが証明していますが、スマホの利用時間が1時間未満の子どもに至っては逆転現象が起きています。
1日1時間未満スマホを使用していた方が成績が良いのです。
この逆転現象の原因について諸説ありますが、
スマホを1日1時間未満しか使用しない子どもは
『スマホという魅力的なツールを1日使用時間1時間未満でセーブできる自制心の持ち主』
という見方もできます。
これは親の指示でスマホを全くもたせてもらえない子どもより、自分の意思でコントロールしている分すごいですよね。
セルフコントロールに長けている分、スマホを1時間未満使用している子の方が成績が良いのも納得です。
アプリの数だけ成績が下がる?
スマホに入っているアプリの数と、勉強の成績は反比例します。
次から次へとアプリをダウンロードし、使っていないアプリまでたくさんある方は注意です。
話は少しそれますが、この本は毎年発行されている東京大学理科三類合格者たちの合格体験が綴られている本です。
2020年度合格した方の中に、浪人中、秋葉原に行きたいと思っていたとき、予備校の人に
「秋葉原に1度行くと偏差値が5下がるよ」
と言われ1年間辛抱し、見事春に合格したエピソードがあります。
このアプリの話と似ているなぁ、と読んでいて私は思いました。
アプリ10個を超えたらそれから10増えるごとに偏差値が1下がると思ってアプリの整理をしてみるのもいいかもしれませんね。
(ちなみに私は75個アプリを入れていました笑 殆ど仕事用のアプリですので、いいですよね・・・汗)
スマホ依存度チェック
最後にスマホの依存度をチェック項目に従って確認してみましょう!
該当項目が10個以上あったら要チェック?
- リアルの会話よりも、スマホでのコミュニケーションの方が楽しい
- スマホ以外、特に趣味がない
- 自分の送ったメールやLINEに対する返信が遅いことが原因で、相手とトラブルになったことがある
- スマホをしている最中に話かけられるとイラッとする
- スマホがないと、友人とコミュニケーションが取りにくい
- 電話や直接話すより、メールの方が本音を言える
- 現実から逃避するためにスマホを使うことがある
- スマホに熱中するあまり、学業や仕事に支障をきたすことがある
- スマホに熱中するあまり、その日の予定が狂ってしまうことがある
- 他にしなければならないことがあるのに、スマホをしてしまうことがある
- スマホのせいで、夜更かしをしてしまったり、寝不足になったりすることがある
- スマホを使う時間がだんだん長くなっていると感じる
- 夜遅くてもスマホで電話してしまう
- 1日に1時間以上、スマホで電話をする
- 他人との会話中にスマホを使うことがある
- 食事中にスマホを使うことがある
- 人と二人でいる時にスマホを使うことがある
- 電車やバスの中でスマホを使うことがある
- 授業中や仕事中にスマホを使うことがある
- 歩きながらスマホを使うことがある
- 電話やメールの着信がないか、無意識にスマホをみることがある
いかがでしたでしょうか?
ちなみに『スマホが学力を破壊する』の著者、川島隆太先生は2つしか該当しなかったそうです。
私は余裕で10個以上該当しました笑
若い方ほど該当する項目が多く、若年層の殆どの人が10個以上該当するのではないでしょうか?
危険だから遠ざけるではなく、リテラシーの教育を
冒頭、高校生未満の子どもにスマホを渡すことに反対と言いましたが、絶対に渡さない方が良いというわけではありません。
スマホは大変便利ですし、これからの社会を生きる上でなくてはならないツールです。
ある意味、包丁も一緒です。
包丁もまた、大変便利なツールです。
しかし、誤った使い方をすると大変危険な代物でもあります。
「包丁は危ないから禁止しよう!」
と叫ぶ人はいないはずです。
危険だから使いわない、遠ざけるようでは自動車も火も、電気も水も禁止しなくてはなりません。
要は正しく使えれば良いのです。
確かにスマホは子ども自身にセルフコントロールするには難しい代物です。
なぜなら魅力的すぎるのです。
しかし、一方的に禁止しては、一生子どもはスマホの扱い方を学べません。
大きくなってから親の規制がなくなった途端にハマり、かえってひどく依存してしまうかもしれません。
そこは分別のつく大人が正しい扱い方を教えてあげれば良いのです。
誰でも生まれながら自動車を運転できる人はいません、誰かに習って扱い方を知るのです。スマホも同様です。
先人が子どもたちに扱い方を教えてあげれば良いのです。
結論:スマホは使い方を教えるべし もしそれができないなら持たせない方が無難
たまに、スマホがないと帰り道とか危険とおっしゃる保護者様がいます。
しかし、思い出してみてください。
私や皆さんが高校生以下だった頃、スマホがありましたか?
ありませんよね笑
親との連絡が必要であれば、公衆電話や塾の電話を使用すれば良いのです。
もし、それすらも不安なら電話機能しかないキッズ携帯があれば良いのです。
便利さを理由に依存してしまっているのは、案外親の方かもしれないというお話でした。