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今回は、「ぼーっとする時間が優秀な子どもを育てる」というテーマについてお話ししていきたいと思います。
ぼーっとする時間に「脳」が重要な働きをしている?
人体において脳は最もエネルギーを消費する器官です。
その脳の中でもDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)という回路が60〜80%のエネルギーを消費しています。DMNは、意識が働いていない、つまり「ぼーっとしている時間」に働く領域です。
人間の脳は「ぼーっとしている時間」に記憶の整理を行います。
いくらたくさん学んでも、その記憶を整理し、記憶の本棚にしまわなくては必要な時に欲しい情報を取り出すことはできません。
学ぶことも重要ですが、それを1つ1つ整理してあげることで長期的記憶に繋がるのです。
そのため、過密スケジュールで勉強漬けにして、休む暇がないと、効率的な学習にはならないのです。
この事象は筋トレにも似ていますね。
筋トレも1日ハードワークしたら、翌日は筋肉を休めると良いと言います。
その休みの時間が「超回復」と呼ばれる筋肉を作る時間になり、より効果的に筋肉を増やすことができます。
しかし、その超回復の休み時間を設けず、ハードな筋トレを繰り返してしまうと、返って筋肉が小さく萎んでしまうのです。
寝る子は育つ、成績アップの秘訣は睡眠時間?
子ども4人を東大理科三類に入れた佐藤亮子さんは、一番下の娘さんの子育てである悩みを抱えたことがあると著書で綴られていました。
上の3人の息子さんたちと違い、娘さんは明らかに寝る時間が長かったのです。
「こんなに寝ていて大丈夫なのかしら?」と佐藤亮子さんは思ったそうですが、結果を見れば、その生活習慣で間違いなかったのです。
「ぼーっとする時間」と同様、寝る時間も記憶を強固にする上で重要です。
一見、寝る時間もぼーっとする時間も教育熱心な親からすれば、無駄に見える時間です。
しかし、その時間を確保せずして良質な学習効果は得られないのです。
習い事の入れすぎは逆効果?
教育熱心なお母さんほど、我が子に色々な経験をさせてあげるために習い事をたくさんさせてあげる傾向があります。
そのこと自体は私も大賛成です。
特に小学校卒業までの間は、その子の可能性を探り、興味関心を広げる上でさまざまな体験をさせることは重要です。
色々な大人と関わり、子どもたちは社会性を身につけていきます。
特にピアノは東大生で習っていない人を探すのが難しいほど勉強に良い効果があると言われていますし、水泳は体幹、習字は集中力、集団スポーツはコミュニケーション能力を鍛えます。(個人的におすすめの囲碁は大局観・忍耐力・集中力・論理的思考力を鍛えます)
しかし、その習い事も小学校6年生以降は徐々に減らしていく必要があります。
先に述べた「ぼーっとする時間」を確保するためです。
また、いくつも習い事を平行していると、子どもは気疲れをしてしまい、それぞれの学習効果が下がってしまうのです。
小学校6年生までは可能性を探るため、広げてきた習い事も、小学校6年生になってからは徐々に絞っていく時期に入ってきます。
中学生になると勉強の比重が大きくなってきますので、習い事も勉強にシフトしていくことが求められます。
塾の他の習い事は本当に続けたい1つに絞り、中学生になる準備をすると違和感なく、中学生の生活習慣にシフトできます。
どのみち、中学校に入れば部活動もあり、今まで通っていた習い事にもなかなか行けなくなります。
もし3月末に一気に習い事をやめ、勉強一本にシフトしたら確実にハレーションが起きます。
人間誰しも急激な変化にはストレスを感じます。
そういう意味で小学6年生というのは『上手に』次の段階にシフトすることが求められる重要な時期なのかも知れません。
以前のブログで
「自由な時間は天才を育てるか?〜コロナとニュートンに学ぶ〜」
というテーマでも書きましたが、優秀な人間を育てるには自由な時間が重要です。
かのアインシュタインもコンパスをじーっと眺めるのが好きな子どもだったそうです。
学者・クリエイターも、風呂場でアイディアが浮かんできたり、散歩中に思いついたりすることがあるそうです。
これはDMNが有効に作用していることから生じる現象です。
勉強も習い事も良いですが、たまには公園や河原を散歩して草花を愛で、鳥の鳴き声に耳を傾けてみると案外良いことがあるかもしれませんね。