そろばんを今すぐやめなさい

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学習塾で教えているとある法則に気が付くことが多々あります。

その中の一つが『そろばんをやっていると算数や数学が苦手になる』という法則です。

当初たまたまそういう事例が重なっただけだと考えましたが、事例がさらに重なってくると、いやでも認めざるを得なくなりました。

この話をすると、どのお母さんも信じられないと言った顔をされます。

一見、そろばんは計算力を高めるように思えますので、その因果関係を特定するうえで仮説を立てることに苦労しました。
またいくつかの文献を当たりましたが、どの著書もそろばんのメリットのみを語り、弊害については書かれていなかったので、この仮説を立てるためにまず事実関係を列挙してみました。

①そろばん2級以上の子どもに多い
②女子に多い

この2点です。
逆にそろばんを習っていても算数がある程度できる子の特徴は以下の通りです。

①そろばん3級以下
②真面目すぎない男子

これらの事実を結び付けていけば、先に述べた通りそろばんが算数や数学に悪影響を与えていることはわかりますが、今度はなぜそうなのかがわかりません。

そこでいくつか思い当たる点を挙げてみました。

まず、数覚を損なうのではないかという仮説です。

数覚とは、英語で言うとナンバーセンス、平たくいうと数に対する感覚です。

例えばみなさんは6という数字を言われたときに何をイメージしますか?
6は6だろって思った人は数覚が足りません。

ちなみに私には凸というイメージが浮かびます。
先の出っ張っている部分が「1」で下の四角形が「5」です。

6という数字を10進法(みなさんが普段使っている数は10になると桁が繰り上がりますよね?その考え方です。ちなみに時間は60進法。60秒は1分に繰り上がります)で捉えた時、6は4を足すと10になり、1を引かれると5という2倍すると10になる数になります。

だから6という数は1と4という数と親和性が高いというイメージです。
また6を素因数分解すると2×3になります。6は2でも3でも割れる数なので、2と3とも親和性が高いとも言えます。

数学の問題を解くときに、この感覚は重要です。
複雑な方程式でも、共通の因数を見つけられれば計算がぐっと短縮されることもあるからです。

算数が得意な子ほど、10や5の倍数でまとめてから計算することが癖になっています。
一見なんでもなさそうな整数から親和性の高い数を見つけ出すことが数学には求められるのです。

例えば121という数を見て、何か思い浮かびましたか?
11という数が高校生以上で浮かばなかった方は勉強が足りていません。

121という数は11を2乗した数です。最低でも11~19までの2乗の数は暗記必須です。
でも1369という数はどうでしょう?

これを見て37という数が瞬時に浮かんだ方は、優秀です。
1369は素因数分解できる数が、37という素数しかないので難しいのです。

しかし、これも数覚が身に付いて入れば瞬時に気が付けるかもしれません。

この話は別に難しい話をしているわけではないのです。
優れた数学者のように、「9」という数はパワーに満ち溢れていて、都会の摩天楼のような圧迫感がある、なんて数覚までは求めていません。

ただ数を数としてしか認識できないようでは数学の力はつかないということです。
そろばんの計算は確かに早く、暗算の力も鍛えてくれるでしょう。しかし、その力が求められるのはせいぜい小学低学年までです。

それ以降は10進法でしか数をとらえられないことが弊害となるのです。
ましてや、そろばんは3進法と6進法の混合です。数学ではまず使わないです。
数に対するイメージがそろばんだけでは困るのです。

そろばんを真面目に熱心に取り組めば取り組むほど、そのイメージが強固になってしまうことが問題なのだと結論付けました。
だから、あまり真面目にそろばんをやっていなかった子の方が数学が得意なのです。

数に対するイメージは人それぞれで良いと思います。私のようにテトリスのイメージの人もいると思いますし、おはじきを並べたイメージの人もいます。
このイメージの数が多い方が数に対する感覚、つまるところ数覚があると言えるのではないでしょうか?

少し難解なテーマでしたが、みなさんの参考になれば幸いです。

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