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最近、附属中受験に関するお問い合わせをたくさん頂戴しております。
その中で世間における附属中のイメージと実態に乖離を感じることがありますので、この機会に附属中進学のメリットとデメリットについてお伝えしていきたいと思います。
新潟県において「附属中」と言うと「新潟附属中」「長岡附属中」「上教大附属中」が想像されると思いますが、「上教大附属中」は情報が少ないため、今回は新潟大学附属の2校についてお話していきたいと思います。
なお、このお話はあくまで私個人の独断と偏見によるもので、実態と異なる場合もございますのでご了承ください。
世間でのイメージや、在学生・保護者様視点ではわからない視点のお話もできると思います。
附属中ってどんなところ?
勉強への意識の高い子たちが集まる学校、附属
都心などと異なり、新潟県は私立中学校より附属中進学が偏差値の上でリードしています。
昨今は新潟県内においても私立中や中高一貫校、一部の公立中学校の隆盛も目覚ましいですが、まだ県内では附属が有名どころでしょう。
そのため、教育意識の高い保護者様とお子さんが附属には集まります。
その結果、地域の子どもたちが集まる公立中学校と異なる集団社会がそこには形成されます。
居住地域ではなく、意思をもって集まった集団であるという点において附属は特殊と言えるでしょう
また試験を経て入学するため、高校受験より一足早く学力による判定を経験しています。
特殊な人材のるつぼ『附属』
早い話が良い意味で『変わった子』が多いのが附属の特徴でもあります。
私の同級生には『小学校時代、どんな味するか気になってナメクジを舐め、広東住血線虫症という寄生虫感染症に感染し入院したKくん(現在某県の県立大助教)』や『マッキンゼーに務め現在はUSAでスタートアップ投資をしているTくん』や『某KO大学に入学するが1年目に58単位落とし中退、現在はメディアの世界で日本を代表する年末番組の制作に携わるTくん』や『やりたいことがないから国でも守るかという理由で高3の時、旧帝大の合格を蹴り某A大学に進学し、士官になり現在は国のお金で大学院で国防について学びなおしているSくん』などなど。
言い出せばキリがないのですが、これだけでも胸やけしそうなくらい濃いメンツですが附属生は個性豊かな人材のるつぼでした。
一番多い仕事が「医師」で、「政治家」「弁護士」は私の知る限り同世代にはまだいません。
勉強面では言わずもがなですが、勉強以外の面でも多種多様な人材がいます。
『プロ雀士を目指しているCくん』や『今でも音楽活動一本で活躍するJくん』などいずれもいわゆる「普通」とは程遠い人生を送っている楽しい友人に事欠かないのが附属時代の仲間たちです。
給食のワインゼリーをじゃんけんで取り合っていた彼らが大人になって活躍している話を聞くのはとても楽しいです。いずれも何かしらの爪痕を世の中に残してくれそうな面々です。
私が中学時代、当時の2ちゃんねるに「附属は給食をナイフとフォークで食べる」「生徒全員がバイリンガル」「挨拶はごきげんよう」と書かれた事実無根の書き込みを見つけ噴飯したことを覚えています。
手を使わず食べていた人はいたかも知れませんが。
繰り返しになりますが、この話は私の独断と偏見で附属生がみなこうであるはずがありません。
開校以来、弊塾の壁に穴があいたり、窓ガラスがまだ1度も割られたことがないことからわかるように、今の附属生の子たちはみな常識的かつユニークで素晴らしいお子さんばかりです。
また勉強面に関しても昔よりずっとレベルが上がっていることも実感します。
かつては中学1年生で英検3級持っている子も学年に数えるくらいしかいませんでしたが、今はその数倍持っている子がいて、英検2級を3年生のうちに持っている子すら存在します。
テストも年々難しくなっており、450点以上を取ることは以前にも増して容易ではなくなっています。
附属中進学のメリットとデメリット
前置きが長くなりましたが、附属中進学のメリットとデメリットをご紹介していきたいと思います。
メリットとデメリットは表裏一体ですので、主にメリット視点でお話していきたいと思います。
個人的な意見では、「附属向きな子」と「そうではない子」がいます。
どちらが良いということはありません。
また全員が全員に附属進学を勧めるということはありません。
勉強面に関しても附属以外の中学校でもあっと驚くような学力を有する子は数多く存在します。
「勉強なら附属」というのはある程度誤解もあるというのが私見です。
附属のメリット① 研究熱心な先生たちから授業を受けられる
附属中の先生は公立中学校の先生たちと雇用形態と業務形態が異なります。
あまり詳しくは語りませんが、ただでさえも多忙な中学校の先生ですが、附属の先生たちは研修や出張が非常に多くあります。また新潟市採用の先生も附属に行くと給与元が変わるため、賃金面では昇給が遅れてしまう場合も存在します。
そのため、附属に赴任することを敬遠する人もいます。
現在新潟市内で教鞭をとっている大学の後輩に「附属いかないの?」と聞いたとき、上記の理由で今はちょっといけないと言われたことがあります。
それをおしてでも附属に行きたい、という意思を持った先生たちが附属に集まります。
ちなみに附属の先生たちは校長先生や教頭先生になる人の割合がとても高いです。私が中学時代お世話になった先生たち(小中学校)は県内の学校の校長先生や教頭先生にほとんどなっていました。
ただ研究熱心な反面、新潟大学の教育機関という側面である以上仕方ありませんが、教育実習が非常に多くあります。そのため、実習の先生と一緒に成長していく経験が得られる反面、自校の先生から授業を受けられる時間は他の学校に比べて減ってしまいます。
附属のメリット② 自由な時間が多く好きな勉強ができる
お休みが多いです。
研究会などで学校が休みになることもしばしばあります。
結構休みが多いので、私のような両親共働き家庭は兄弟そろっておじいちゃんおばあちゃんちに預けられていることが多かったです。
長期休暇の宿題も最低限で控えめです。
授業も基礎と反復ではなく、考える授業、道徳的な学習に非常に力を入れています。
新潟附属中は『生き方・学び方』の時間」が教科として設けられていて、生徒一人ひとりの資力・能力を高めるために創造的な授業が行われています。
なので、学校の授業はもう塾や自分でやってわかっているからあまり受けたくない。自分のやりたい勉強をする時間が欲しいという人には附属はうってつけの学校になります。
一般的な公立中学校の「護送船団方式」とは異なる授業カリキュラムだと思います。
そもそも附属の校風・教育目標が「独立」と「自主性」を重んじる以上、当然なのですが。自ら何かを成す意思を持つ人材を育てる授業カリキュラムであり、勉強が苦手な子にとっては性急さを感じるかも知れません。
現場の先生たちは最大限の努力をしていると思いますが、学力のボラティリティーが上に振れている附属は集団授業を行うことはより困難でしょう。
佐藤塾長岡本校では中学生は週4コマの授業で英語と数学を学び、学校の授業の先取と復習を行っていますが、このように学校以外での学習量を確保しないことには授業についていくこともいずれ困難になってしまうリスクが附属には存在します。
附属のメリット③ 一緒に学ぶ『生涯の仲間』を得られる
私は大学時代は自治寮に住んでいましたのでその中で200人以上の人たちと濃厚な時間を過ごし、今でも定期的に連絡を取り合う友人、先輩、後輩は数多く存在します。
(ウズベキスタンでラグビーの普及に努めているM先輩の話はすごく面白いのでどこかでお話したいです。普及に協力してほしいと言われ行ってみたら、グラウンドも何もない荒野が待っていたそうです)
しかし、最も古い生涯の友人たちは附属時代の友人です。
その関係性は今でも続き、話を聞くたびに良い意味で触発されます。
中学校時代も彼らの知見は度々私の狭い世界を広げていきました。附属に入るまでの私は世の中の職業は「教師」以外知らない世間知らずでした。しかし、彼らの将来の目標や夢を聞き、視座を引き上げてもらえたような気もします。
また雲の上のような存在に感じていた大学も彼らの様を間近に見ているとそう遠いものではないような気がしてきました。あくまで気がしてきただけですが。
鷲になりたければ、鷲と一緒に飛べ (SKYキャッスルより)
附属時代の友人たちはみな口をそろえて自分の子どもも附属に入れたいと言っています。それは私も同じです。
「当たり前のレベルを上げる」そういった意味で附属中学進学はメリットがあると思います。
附属中進学の注意点
ここまで附属中進学のメリットとデメリットをお話してきましたが、基本的に私は附属中進学をお勧めしております。
「受験」も勧めていますが進学も素晴らしいメリットがあります。
しかし、注意しなくてはならないのが附属は自主学習が前提条件になっている点です。
自主学習が伴わなければ、附属進学のメリットはむしろデメリットに転じてしまいます。
佐藤塾長岡本校では中学生に週4コマの集団授業をしていますが、これは学力を保つための「最低限」の授業コマ数です。先生たちは工夫して授業してくれていますが、これだけではじり貧になるのは目に見えています。
科目は数学と英語、国語もありますが、これは習慣的に机に向かう習慣を身に着けてもらう意味もあります。
(新潟校では国語の他に自律学習サポートの時間を設けて他の科目も指導しています。)
繰り返しになりますが、附属は自主学習が前提条件です。
毎日の学習習慣を身に着けられるかが、附属進学を選ぶ選ばないの判断指標になるのではないでしょうか?