麻布中の激ムズ入試問題「社会」は大人でも解けない?

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目次

名門中の入試問題に挑戦しよう!

佐藤塾の小学生集団指導コースでは名門中学校の難問に挑戦することもしばしばあります。
数をこなすのではなく、じっくり腰を据えて問題に挑む経験も貴重です。
また都心の小学生たちが挑む難問を知ることで意識も変わります。
興味のある方はぜひお問い合わせください。

男子御三家「麻布中」の入試問題社会は大人でも解けない?

番組の中で紹介された入試問題をご紹介いたします。
最近話題のイエール大学助教授成田先生も参加していてなかなかユニークな回答が飛び交います。
問題は2問あり、模範解答は大手学習塾さんが挙げているものをご紹介します。
皆さんもちょっと考えてみてください。

問題1:鎖国中の江戸時代において、なぜ長崎にだけ貿易船が入ることが許されたのか?

江戸時代には幕府の鎖国政策のため、外国と日本を自由に行き来することは禁止されていました。しかし、オランダと中国の貿易船は、幕府の支配地である長崎にだけ滞在し、出入りを認められていました。

Q,幕府の支配地である長崎だけに貿易船の出入りが認められたのはなぜですか?説明しなさい。

ちょっと考えてみてください。制限時間は1分です。

社会はしばし暗記科目と誤解されますが、こういった「なぜ」を問う問題は名門校ならではですね。
素晴らしい良問だと思います。

幕府が貿易の利益を独占できるから

皆さんが考えた自分の答えと比べていかがでしたでしょうか?
ちなみに麻布中学校は正答例を公表しておりません。
テレビの中ではいろいろな方が意見をおっしゃっていましたが、実際ガチンコで問題を解けと言われたら、答えを出すことすら難しいかもしれません。
もちろん、この問題は入試問題のごく一部です。
この問題に時間をとられていたら時間が足りなくなってしまいます。
問題を想定し、事前に答えを用意する学習が日常的に行われていればあっという間に答えを出せるはずです。
日ごろから「なぜ」の視点を持つこと、批判的思考はフィンランド式教育の根幹でもあります。(フィンランド語でなぜはミクシ)
ただ単語を暗記しておしまいの学習では名門中の入試問題には柔軟に対応できないかもしれませんね。

長崎の出島(詳しくはwikiで)

批判的思考を実践してみよう!

じゃあ、なぜ幕府は貿易の利益を独占しようとしたのでしょうか?
参勤交代・武家諸法度といった制度が一貫して目的としていたことを考えればおのずと答えは出てきます。
個人的に私が模範解答を書くなら「独占」ではなく「管理」という言葉を使ったはずです。その方が目的に沿っています。
また、豊臣秀吉のバテレン追放といった政策もなぜ行われたのかを知れば、その後の徳川幕府の鎖国主義もわかります。
さらに思考を進めていましょう。
なぜ、オランダと中国は貿易が認められていたのでしょうか?
なぜ、スペインとポルトガルは貿易が認められなかったのでしょうか?
なぜ、世界には日本人村があるのでしょうか?
当時のアジア情勢はどうだったのでしょうか?
バテレンとはカトリックとプロテスタントどちらを指す言葉?
カトリックとプロテスタントの教義の違いは何?
などなど、言い出せばキリがありませんが、1つの事象から数多くの知見を得ることができます。そしてそれはただの暗記とは学習効率が大きく違います。
本来勉強とは物事の理解を掘り深める行為です。
勉強という言葉を聞いて、顔をしかめる方のほとんどが詰め込み学習をイメージされていておりますが、本来こういった一見遠回りに思えることが一番の近道であり、自身の思考を立体化させるのです。

問題2:日本に働きに来た外国人とその家族の人権を守るにはどのような政策・活動が必要か?

日本に働きに来た外国人とその家族の人権を守るためには、どのような政策や活動が必要だと考えられますか。君が考える政策や活動とそれが必要である理由を、80~100字で説明しなさい。
なお、句読点も1字分とします。

日本語の能力や社会生活を送るうえで、必要な知識を確認する検定制度を設け、達成したものには最低賃金などを保証する。
さらに、家族を養えるほどの収入のある者には家族の滞在を認めるといった細かなルールを定める。

これはかなり難しい問題ですね。
こういった問題を解くときに注意してもらいたいことがあります。
それは出題者の求める答えを意識することです。
例えば、麻布中学校の場合、創始者である江原素六は明治維新後、西洋学を学ぶために欧米視察もされている方です。
つまり麻布中学校の求める方向性は「グローバル」「リベラル」であることがわかります。
ここで「ナショナル」「パターナル」な解答を用意してしまうと出題者が求める答えとは異なるということです。
テレビの中のひろゆきさんや成田先生は「ナショナル」寄りの答えに見えます。
おそらく、知識人であるひろゆきさんや成田先生は外国人労働者の保護政策を打ち出していったときの影の面、マイナスの面もご存じであるがゆえに直感的にナショナル寄りの答えを用意されていたのだと思います。
これらの意見に個人的には同意できますが、出題者が求める答えをしては大手学習塾さんが出された模範解答の方が『正しい』と言えると思います。

番外編:GAFAの入社問題?(佐藤塾verも)

いわずと知れたGAFAですが、その入社問題がユニークでしばし話題になります。
例えば、アップルの場合、「2001年にあったあなたにとって一番衝撃的だった出来事はなんですか?」という質問に対して
「9.11同時多発テロ」という世間一般における正しい答えを言ったら×にされるそうです。
アップルにおける正解は「iPodが発表された」なのだそうです。
同じように見えるIT企業もそれぞれの社風、理念が存在します。
世間一般における間違いが正解になることもあるのです。
出題者がどんな答えを求めているか、企業(学校)の理念・方針は何なのか、せめて受験される際は、それくらい調べていった方が良いです。
そういったところに頭が回る人は総じて優秀な人であることが多いですが、12歳の子どもがそこに気をまわせたらお化けです。
肝心なことは身近な大人、特に親が日常的に考えていることをわが子に教え、意思決定のプロセスを伝え続けることです。
その習慣があれば、子どもの視座が広がり、高まり、自分で考え行動できる人間へと成長できるのです。
ちなみに佐藤塾の採用ではいかに教育というものを日常的に考えて自己研鑽に励んでいるかが重要になります。
「やってみたい教育はありますか?」の質問に答えられない人は全員不採用にしていますし、やってみたい教育が矢継ぎ早に出てくる人は日常的に教育に対して向き合って生きている証でもあります。常に今やっている教育に課題意識を持ち、現状を良くしていこうという意識が肝要です。
かのウォルト・ディズニーの言葉でこういうものがあります。
「人に想像力がある限り、この遊園地は完成しない」
現行の入試制度に折り合いをつけながらではありますが、佐藤塾の目指す理想の教育もまた日々形を変え、完成を目指し続けていきたいと思います。

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